コメバツガザクラ Arcterica nana (ツツジ科 コメバツガザクラ属
 コメバツガザクラは本州中部以北、北海道に分布する矮性の低木。高山から亜高山の砂礫地や礫間などに生育する。葉の幅は3〜5mmと小さく、その様子を米粒に例えたのが名前の由来であろう。長く伸びる枝では葉は互生するが、茎の先端では3枚が輪生し、花も3つつく傾向が高い。この輪生は本種のよい目印。7月に長さ5mmほどの花を付ける。

 恵庭の樽前山は活火山であり、標高1000mほどでありながら高山植生が発達している。850m付近からであろうか、砂礫地にぽつぽつとコメバツガザクラが生育し始める。それより高い地域の火山ガスの影響が少ない場所では、かなり密なマットを形成している。来訪したのは9月13日であるが、すでに来年のツボミがしっかりと準備されている。樽前山は本来の分布よりもずいぶんと低海抜の場所に生育しているので、開花は5月末だそうである。準備が行き届いているので、春の開花は早めなのであろう。注意して歩くと、わずかに狂い咲きしたものを見つけ、花を画像に収めることができた。ずいぶんと小さな花である。
 ネットに掲載されているコメバツガザクラの画像には、樽前山のものが目立つ。シラタマノキと同様に、樽前山で目立つ植物なのである。競合する高山植物が欠落傾向なのか、火山ガスに強いのか、どうなのであろうか。
コメバツガザクラ Arcterica nana
砂礫地に生育するコメバツバザクラ安定した立地で地面を覆って生育するコメバツガザクラ
コメバツガザクラの葉花のツボミ
コメバツガザクラの花稔った果実
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