リンドウ Gentiana scabra Bunge var. buergeri (Miq.) Maxim. (リンドウ科 リンドウ属) |
リンドウは本州から奄美大島に分布する多年生の草本。明るいススキ草原に生育する。明るい山道のそばに良く咲いていたものであるが、近年は少なくなった印象がある。花は秋遅くになって咲き始め、霜が降りる頃まで開花しつづけ、リンドウが咲く頃になると、山は紅葉の季節となる。キキョウやオミナエシなどと同様に里山の植物ではあるが、咲く季節が遅れるので秋の七草には選ばれていない。 リンドウは湿原のほとりによく生育している。人間が草刈を行うようになる以前は、湿原と陸地の境界部などに生育していたに違いない。小生のリンドウの想い出は、霜の降りるころ、冷え切った体での湿原調査であり、残りの調査期間の少なさへのあせりである。霜の降りる頃に咲き残っている花を見ると、真冬が来るまでに種子を稔らせることが出来るのか、と疑問に思えてくる。 花をよく見ると、最初は雄しべが開いており、雌しべの柱頭が2つに分かれているのが観察できる。その後、雄しべは閉じてきて、雌しべに花粉を付ける。このようなシステムが、秋遅くの開花結実を確実にしているのであろう。 |
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