イワイチョウ Fauria crista-galli (ミツガシワ科 イワイチョウ属) |
イワイチョウは本州中部以北の亜高山帯に生育する多年草。湿地に生育するが、植生学では雪田を代表する植物とされている。葉は厚く、幅3〜10cmの腎臓形。この形がイチョウに例えられたのが名前の由来との事。花は7月〜8月にかけ、高さ30cmほどの花茎の上に咲かせ、花冠は通常は5つに深裂するが、ここに掲載したもののように、6つに深裂するもの、4つに減数するものもみられる。 イワイチョウの生育地は、遅くまで雪が残る雪田である。どのくらいの期間、残雪があるかは積雪量と気温の影響が大きい。谷などの凹地形には雪がたまりやすいのは当然であるが、北西からの季節風によって、南東斜面には吹き溜まりができて大量の雪が貯蔵されることが多い。この傾向は日本海に面する山岳で顕著であり、白馬の大雪渓などとして知られている。ここ白山でも同様であり、高原状の地形や谷頭部などで雪渓が形成され、遅くまで残雪がみられる。このような地形の中で、平坦あるいは緩傾斜地では溶けていく雪渓から持続的に水分が供給され、湿地ができる。このような場所がイワイチョウの典型的な生育地である。 |
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