ヤブコウジ  Ardisia japonica (Thunb.)Blume   (ヤブコウジ科 ヤブコウジ属
 ヤブコウジは北海道・本州・四国・九州、東アジアに分布する常緑の小低木。常緑広葉樹林域の森林に広く生育する。樹高は10cmから20cmほどで、土中に地下茎を発達させ、所々から地上茎を出す。地上茎は枝分かれしない。地下茎で増えていくので、明るい場所では群生して密な群落を形成する。地下茎で地上茎を出す場所を変えることができるので、良好な生育地を求めて移動できる木本ということになる。
 葉は互生であるが、茎の先端に輪生状に集まる。両面無毛で両面とも光沢があり、縁には小さな鋸歯がある。2年目以降の茎には6月の終わり頃から7月にかけて花が付く。花は直径7mmほどで、花冠は5つに分かれ、おしべも5本。花冠には小さな紫色の斑紋が点在する。葉の下に隠れた目立たない花であり、どんな動物が花粉を媒介するのであろうか。アリかもしれないと思っている。果実は秋に赤く熟し、冬も残っている場合が多い。正月の飾りものとして使われることもあり、しばしば観賞用に栽培される。地面近くに果実があるので目立たないとは思うが、冬の食料欠乏期には鳥達の貴重な食料であるに違いない。
ヤブコウジヤブコウジの花(7月に咲く)
ヤブコウジの果実;葉の下に隠れて目立たないヤブコウジの葉;両面無毛で光沢がある
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