セイヨウトネリコ Fraxinus excelsior L. (モクセイ科 トネリコ属
 氷河特急の車窓から眺めていると、谷底や川沿いに発達する森林はヨーロッパトウヒ・ヨーロッパカラマツなどの針葉樹とこのセイヨウトネリコが主体であった。海抜1600mまでに生育し、スイスでは山岳地帯よりも低い地域に広く分布している。特に扇状地には多かった。特有の果実が稔っていたので、トネリコの仲間であることは容易に判別できたが、列車やバスでの移動中であることが多く、残念ながら葉と芽だけの記録となった。
 セイヨウトネリコは樹高20〜35mの落葉広葉樹。葉は長さ20〜35cm、対生の奇数羽状複葉で9〜13の小葉からなる。芽の形はまさしくトネリコ属であるが、黒色あるいは黒紫色であり、特徴的。葉の展開に先立つ4月から5月にかけ、枝先に花を咲かせるが、花弁や萼を欠く。葯は暗赤紫色で雌雄同株。
 材はねばりがあり、テニスラケットやステッキ、機械のハンドルなどの曲げ物として利用された。同属のアオダモは野球のバットを作るので有名。生木でもよく燃えるとのことで、定期的に伐採を行って燃料として利用される重要な樹木であったとの事。英名はAsh、European Ash、Common Ash.
セイヨウトネリコ Fraxinus excelsiorセイヨウトネリコ Fraxinus excelsior の芽
複葉の裏面セイヨウトネリコ Fraxinus excelsior の芽
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