ショクヨウホオズキ Physalis pubescens var. grisea  (ナス科 ホオズキ属
 時折散歩する耕作地のそばの放棄畑にホオヅキの仲間が生えていた。昨年も同じところに生えていたので多年草であると思っていたが、一年草であった。一緒に散歩していた人物が、懐かしいという。よく食べていたとのことであった。食べてみることにした。「おいしい!」 甘いトマト? トマトよりもさっぱりした食味だ。この撮影場所は、半栽培といった状況だが、大豆畑などにも点々と生育が見られ、繁茂している。我が家の畑では種まきもしないのに春遅くなって芽生え、収穫の終わったキュウリ畑を占領していく。暑い季節が好きらしい。

ショクヨウホオズキ Phyalis pubescens var. grisea
下側からみた枝花
ヒメセンナリホオズキの花袋を破った中
果実は稔ると落下する地面に落下すると外側の袋は脈を残して食べられる
ヒメセンナリホオズキの葉裏面

 岡山県にはヒメセンナリホオズキとその変種のショクヨウホオズキの分布が報告されている。平凡社の「日本の帰化植物」によれば、ヒメセンナリホオズキは短い斜上する毛、ショクヨウホオズキは立つ毛が密生ということなので、ショクヨウホオズキと判断した。両者の区別は困っているようで、混乱しているように見える。本質的な違いではないのであろうと思う。

 茎は枝分かれして横に伸びて広がり、群落をつくる。葉は長さ5cm前後で、先端側の基部は小さくて左右不同。両面有毛で、特に裏面脈上には短い直立した毛が多い。茎にも立った短い毛と長い毛が多いが、花柄や萼には立った毛が多い。花は黄白色で紫褐色の斑があって、毛が多い。果実は次々と付き、熟したものは落下する。地面に落下した果実は袋のおかげで、汚れることなく食べられる状態のまま保たれる。やがて袋は脈だけとなってしまう。中の果実だけが透けて見えるのは、ホオズキと同じで面白い。英語名はGround-cherry。地面のサクランボという意味になるが、落下した果実をそのように呼んだのであろう。
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