ミミズバイ Symplocos glauca (ハイノキ科 ハイノキ属) |
ミミズバイは関東以西から四国、九州、沖縄さらには東南アジアに分布する常緑広葉樹。本州は太平洋沿岸域が中心であり、日本海側にはほとんど出現しない。本州の瀬戸内海側では、広島県の宮島や芸予諸島など、太平洋の影響を受ける沿岸域、四国では太平洋沿岸と瀬戸内海側の一部であり、黒潮沿岸域の植物である。葉の長さは8〜16cmで細長い。裏面は灰白色で葉の縁が裏に少し巻く。枝打ちはやや荒っぽく、枝先は垂れる傾向がある。 ミミズバイは広島の宮島には比較的多い植物。宮島に広島大学の植物園があった関係で、学生時代はよく知っていたつもりの植物であった。しかし、岡山に移ってからはお目にかかることはなく、四国や九州などの常緑広葉樹林を調査するときに、たまに出会う程度ですっかり疎遠になってしまっている。 宮島には分布するが、わずか1kmほどしか離れていない対岸の本州側には生育していない植物は結構多い。その原因の1つは四国と九州の間、豊後水道を通って太平洋からの影響があるからと考えられているが、そのような分布機会だけではなく、ニホンジカの存在も大きく影響している。 宮島には野生のニホンジカが生息しており、植生に大きな影響を与えている。現在の繁茂の状況を見ると、おそらくミミズバイはニホンジカに食べられにくいのであろう。仲間のカンザブロウノキも同様であると思われる。 |
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