ニンジンボク Vitex cannabifolia (クマツヅラ科 ハマゴウ属) |
時々利用するバス停のそばにこの木が植えられている。バス停の管理上のためか、毎年強度に剪定されてしまう。今日も改めて観察しようとしたら、棒状の幹だけになっていた。逆に言えば、毎年このような管理を受けながら、夏には2mほどになって花を咲かせる落葉性の潅木である。 ニンジンボクという和名が頭に残っていた。簡単に考えてページをつくり始めたが、セイヨウニンジンボクのほうがポピュラーなようで、情報が得にくい。困った点は葉であり、ここに紹介するものは明瞭な鋸歯があるが、図鑑などでは鋸歯のない葉やわずかに鋸歯がある葉が掲載されていることが多いからであった。 話題は変わって、中国の万里の長城で、尾根筋で見覚えのある植物に出会った。花はなかったが、果実が形成されており、ニンジンボクと考えた。しかしじっくり眺めると、葉が鋸歯というより深い裂片となっており、岡山のニンジンボクとはまた異なった形であったが、探すと鋸歯のある整ったタイプの葉もあり、同じ種であり、このような生育状態がニンジンボクの故郷なのだな、と思いつつ帰ってきた。 中国関係の画像を探すと、どうやらニンジンボクの葉は剪定などの条件によって、全縁(鋸歯がない)ものから、部分的に鋸歯があるもの、全体に鋸歯があるもの、切れ込みが深いものまであると考えられた。一般的に、伐採などのような強度の剪定によって葉の形は大きく変わり、とても同じ種の葉とは思えないほどのことも多い。面白い現象である。 |
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