ニラ Allium tuberosum (ヒガンバナ科 ネギ属) |
ニラは本州から九州、中国・パキスタンなどに分布する多年草。冬の鍋物には欠かせない食材である。岡山県では全県下に自生し、特に石灰岩地域には多いとされている。恥ずかしながら、草地や河原などに生育しているものは、栽培品の野化であると思っていたのだが、自生種であるという。もっとも古代の栽培・導入であるとの説もあるそうで、そうであれば古代から食品としての価値が認識されていたのであろう。 名前の「韮」は漢名であるが、ニラという名前は意味不明であるという。おそらくブナやソバなどと同様に古語なのかもしれない。夏から秋にかけて花茎を伸ばし、白い花を次々と咲かせる。食べるのは主に葉であるが、この花も食べられるという。
韮の花は、近寄ってみるとなるほどユリの仲間の花の形態をよく示している。つぼみの断面は3角形であり、花弁は6枚のように見える(3枚は苞で、3枚が花弁)。雄しべは6本見えるが、そのうち3本は早く熟すのか、葯は褐色で小さく写っている。子房は3室になっており、熟すと溝の部分から割れて種子が散布される。
私が住まいしている赤磐市から岡山市にかけての通勤途中にはニラを栽培している畑がたくさんあり、歩くとニラの強い香りに包まれる。十分に光を当てる栽培方法と、育てた葉を刈り取って黒色のビニールをかけて遮光し、暗所で軟化栽培したキニラがあり、キニラ栽培は結構有名である。手間隙がかかって大変そうであるが、柔らかくてやさしい味のキニラもなかなかのものである。
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