ポトス Epipremnum eureum (サトイモ科 ハブカズラ属) |
ポトスはソロモン諸島原産の園芸植物。耐陰性も強く、強健なので観葉植物として広く栽培されている。淡黄色の斑が入るゴールデンポトスが一般的であるが、全体が均一に薄い緑色のライムなどの品種がある。 このポトスを育てはじめたのは、生物地球システム学科の新設を構想し始めたときであった(1996年頃ということになる)。新学科のことをいろいろ考えている内に、新設されるであろう建物のロビーに緑が欲しいと思ったわけである。購入したのは小さな鉢で、これにヘゴの支柱を立てて周りに埋め込んだ。購入した時期が冬であったので、2ヶ月ほどはほとんど生長せず、もどかしい思いをした。気温が低い期間はほとんど生長しない。温暖な地域の植物であることがうなずける。 |
葉の寿命が長いのもポトスの特徴の1つである。5年間栽培していても、古い葉が枯れ落ちる気配はない。葉の寿命はすこぶる長いようである。葉は年月を経るごとに緑色の部分が多くなり、やがて全面が緑になってしまう。上の画像は古い葉と比較的新しい葉を示している。何年も経って、ようやく葉緑素の量が増えてくるのであろうか。(この画像は2002年頃ということになる) ポトスは耐陰性が高く、日照の不十分な室内でもよく耐える。日照不足の中で長期間育てたポトスを急激に明るい場所に出すと、葉が焼けてしまうことがある。その場合、斑入りの黄色い部分が損傷を受け、茶色に枯れてしまうので要注意である。 |
気温が高く、空気中の湿度が高いときには葉の先端に露がたまることがある。多くの植物の葉の周辺や先端には水孔があり、余分な水を排出する。早朝に葉の周辺に露がたまっているのもこれである。上の画像はポトスの新葉の先端に露ができている状況である。十分な蒸散能力がない状態にもかかわらず、新葉へ水が供給され、先端の水孔から水が押し出されたたものである。 |
このような葉柄の関節は他の植物でもすべて備わっているはずであるが、ポトスやツタでは肉眼的に容易に関節の部分判別ができる。 |
ハワイなど、温暖な地域ではポトスは越冬して大きく生長し、木にまとわり付いている。ツルの太さもcm単位であり、とても同じものとは思えないほど。これが本性か! ポトス:オウゴンカズラはいまだ花を見ていない。十分に生長できるまでひたすら待ち続け、大きく生長した段階で(これ以上将来がない段階で)、花を咲かせて結実する戦略である。
ところで、下の画像は21号館6階の男子トイレのポトスである。このポトスは21号館が建設された段階、すなわち1997年にトイレに置いたもの。確か、女子トイレにも置いたはずだが、これはなくなっているに違いない(未確認)。ということで、ここに示したポトスの画像は2015年の12月のものである。20年かかって、この大きさにまで生長したという事実を認識しているのは、おそらく小生だけであろう。 20年間もの長い時間の中には、電灯がつけっぱなしの時もあったに違いないが、植物にとってはずいぶんとつらい生活環境であったはず。最近は人感センサーによる点灯なので、つけっぱなしになることは無い。さらにつらい環境になっていると思うが、結構新しい葉がでたり、で生長している。たくさんの男子学生が夜遅くまで出入りしている、卒論の時期ならではかもしれない ところで、20年前に植えて一回も植えかえしていない。土壌環境も非常に劣悪であると思うが、意外に無頓着のようにおもえる。光環境も土壌環境も劣悪な状態ではあるが、やがて日の当たる場所へ到達することを信じて生長していると言えよう。熱帯のジャングルでは、それくらいのことができなければ生き残ることができないのであろう。 |