ミズギボウシ Hosta longissima Honda var. brevifolia F. Maek. 〔キジカクシ科(ユリ科) ギボウシ属〕 |
ミズギボウシは愛知県以西の本州、四国、九州に分布する多年生の草本で、湿原そのものというより、その周辺に生育する場合が多い。同じく湿原に生育するコバギボウシに比べて葉は細長く、葉柄との区別は明瞭ではない。 8月から9月、細長い花茎を出し、ややまばらに花を付ける。花は長さ4cm内外で、内側には濃紫色の脈がある。通常は表側の脈は明瞭ではないが、直射日光を浴びる場所ではより明瞭な紫色脈を持つものがある。外側よりも内側をのぞき込んだ方が美しい。コバギボウシに比べて花はあまり開かず、雌しべは花冠外にあまり出ず、花数は少ない。分布は点々としており、コバギボウシに比べて少ない。 ミズギボウシはギボウシ属の中で最も細い葉を持っている。愛知県では比較的出会うことが多いが、それでもどの湿地にも生育しているわけではない。湿原の中心部に生育していることは少なく、周辺の草丈が高い場所・流路の周辺、湿原周辺の明るい樹林下などに生育することが多い。おそらく、栄養分の要求性も中栄養的であると思われる。細長い葉は、ヌマガヤなどのイネ科草本との競合が可能な、あるいは適した葉の形なのではなかろうか。十分な日照がある場所に植栽したことがあるが、生育は不良であった。葉の色も濃く、日照が制限されている場所でも十分生育できるものと思われる。 |