アオテンツキ Fimbristylis dipsacea (カヤツリグサ科 テンツキ属) |
アオテンツキは本州から九州、朝鮮・中国・インド・インドネシア・熱帯アフリカなどに広く分布する一年草。ため池湖岸の湿地や干上がった池の底などに生育する。ため池の水位が低下し、水面より上になると発芽しするので、早く水の上になった場所では高さ15cmほどになるが、水面より上になったばかりの場所では1cmほどでも花序をつけている。発芽した直後では、3枚の小さな葉を出し、すぐに花茎を形成する。その後時間があれば、次第にたくさんの花茎を形成し、大きく生長する。大きくなったものでは、葉はほとんどめだたない。花茎で十分な光合成が行えるのではないかと思う。花期は8月から10月。 盛夏をすぎてため池の水位が大きく低下すると発芽し、秋雨が降って水位が上昇するまでの短い時間の中、まず子孫を作り、時間があればさらにたくさんの子孫を作る。このようなライフサイクルはため池という環境によく適応している。夏に雨がたくさん降って、水位が低下しない年には見られない。水底でじっと種子の形で堪え忍んでいる。 |
(フィールド画像は尾崎聡子提供 2002/08/29 岡山市牟佐前原池) |