ホタルイ Scirpus juncoides (カヤツリグサ科 ホタルイ属
 ホタルイは日本全国の水田、沼沢地、ため池の湖岸などに生育する多年生の草本。朝鮮、中国、台湾、インド、インドネシアなどに広く分布する。根元から多数の茎を出し、7月から10月にかけて花序を形成する。花序から上部は茎と連続した茎のように見えるが、これは苞葉である。葉は退化して小さく、茎の根元を包む鞘となっている。
 ホタルイの柱頭は3つに分かれているが、柱頭が2つに分かれているものがあり、イヌホタルイ(Scirpus juncoides subsp. juncoides)とされる。水田に生育しているものの中に、このタイプがあるようである。

 ホタルイやイグサは十分水を得ることができる環境に生育しながら、葉を退化させて細い茎だけで光合成を行っている。葉を失っている状況は乾燥地に適応したサボテンと類似性があり、両極端の生育立地で類似した形となっていておもしろい。ホタルイのような細い光合成器官は一見非能率に見えるが、光を十分に得ることができる場所では、これはこれで効率の高いものなのかもしれない。
ホタルイホタルイの花序


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