シカクイ Eleocharis wichurae (カヤツリグサ科 ハリイ属)
 シカクイは日本全国、朝鮮・ウスリー・中国に分布する多年草。湿原や沼沢地などに生育する。茎は株立ちとなり、見たところ名前ほど断面が四角形であるようには見えないが、指で挟んで回してみると角があることがわかる。切片を顕微鏡で見ると、角の取れた四角形であることが多いが、三角形や五角形であることもある。夏以降、地下には非常に短い地下茎ができ、その先端にたくさんの鱗片がある芽球ができる。ほとんど親株と一体であるので、結果的に茎は株立ちとなるわけである。花序は夏にでき、やや傾く。時に種子が形成されず、花序から新たな個体(ムカゴ)が形成されることがあり、コモチシカクイなどと呼ばれることがあるが、特に区別する必要はないであろう。
 よく似た種にマシカクイがある。シカクイの茎は角の取れた稜であるが、マシカクイは見ただけでわかる3〜4の明瞭な稜があり、地下の芽球を形成する地下茎もやや長く、親株から少し離れる点で区別できる。
シカクイシカクイの地下部(次年度の芽が形成されている)
シカクイの花序(左端のものはムカゴが形成されている)
種名一覧にもどる / 科名一覧にもどる / 雑学目次にもどる / HPにもどる