ホシクサ Eriocaulon cinereum (ホシクサ科 ホシクサ属)



 ホシクサは各地の水田に生育する1年草。水中から湿った泥の上に生育する軟弱な植物。下の画像は、水深5cmほどの管理放棄水田で撮影したものであり、花だけが水面上に出ている状況である(水が透明なので、表水があることがわかりにくい)。5月頃から水の底で放射状に葉を広げている植物があり、何だろうかと注目していたが、8月の終わり頃になって花茎を出し、ホシクサであることがわかった。ホシクサはホシクサ科を代表する植物であるが、長らくお目にかからなかった。昔は広く水田に生育していたというが、除草剤の普及によって少なくなった植物のひとつであるとされている。
 名前の由来は、干草ではなく、白い星がちりばめられたようなイメージの、「星草」であろう。
ホシクサホシクサ
ホシクサの花序干し草の根
 ホシクサは浅い水中で葉を広げ、水上でも生育できるが、実質的には水草として生育しているわけである。このような小型の水中植物が十分に光合成でき、生長するためにはこの画像のような透明度の高い水質が必要であろう。管理休耕田の多くは過去の施肥のために富栄養であり、多くのプランクトンやウキクサなどが繁茂してこのように水底まで十分に光が当たる条件とはなっていない場合がほとんどである。減少は除草剤が原因であるといわれているが、化学肥料による水質の富栄養化が原因かもしれない。ホシクサは、結構微妙な環境の場所に生育している。

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