トウツルモドキ Flagellaria indica (トウツルモドキ科 トウツルモドキ属) |
イネ科のような葉の植物が低木を覆っているのに出会ったのは沖縄島の斎場御嶽(せいふぁーうたき)。葉の先端がクルクルと巻きひげになっており、これで他の植物にまとわり付く。葉の一部が巻きひげとして機能する巻きひげ型のツル植物である。
九州以北では巻きひげ型のツル植物は、一年生草本や冬には地上部が枯れる多年生草本が多い。巻きひげが葉が変化したものであるので、草本では1年以内に寿命が来てしまうが、本種は常緑の木本であるので、相当な期間は巻きついていることができるであろう。しかしながらテイカカズラやイタビカヅラなどの常緑のツル植物が根を出して付着するのに比べ、能力的には低く、不安定であるに違いない。 茎は直径15mmほどになるが、細い竹といったようなもので、籐細工に使うヤシ科のラタンの仲間のように、伸び上がって寄りかかるタイプの生活形なのであろう。 トウツルモドキの和名は「籐蔓もどき」であろうが、「トウツル」はラタンのことなのではないかと思う。つまり、「ラタンもどき」という名称なのではなかろうか。トウツルモドキの英語名には whip vine(鞭蔓), hell tail(地獄の尾), supplejack(しなやかなジャック), bush cane(藪竹)などのようなしなやかさのニュアンスがある名前と共に、 false rattanの名前がある。旧世界の熱帯から亜熱帯に広く分布し、インド、バングラディッシュ、南東アジア、ポリネシア、オーストラリアなどに分布する。
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