ハチク Phyllostachys nigra var. henonis (イネ科 マダケ属
 ハチク(淡竹)はモウソウチク、マダケと比較すれば、最も稈は細く、親指と人差し指で○を作ったサイズが平均的。10cmまで太くなるそうだが、間伐などの手入れが必要であろう。  細工がしやすいので茶筅を作るそうだが、茶筅のサイズである。モウソウチクは牡蠣筏や鯉のぼりの棹、マダケは竹槍や物干し竿のサイズ、ハチクは茶筅のサイズ、釣堀の1本棹はハチクかもしれない。農業資材としては使い勝手が良かったであろう。

 筍は5月のはじめにでる。太いものはないので、道の駅などでは何本かまとめての販売となる。苦味、えぐ味もほとんど無いので、料理しやすいが、逆に筍らしさがないと感じてしまう。ハチクの群落を見ていると、ある程度の確率でホテイチクのような稈のものが混じっている。よく見ると虫が食い入った跡があり、筍にも虫食いの穴があったりする。苦くない分、虫の攻撃にあいやすいのかもしれない。

 稈鞘は淡い紫色で斑紋がないので、筍があればすぐにハチクとわかる。稈の節は二重の輪となっており、白っぽい。この点はマダケの古い稈とよく似ており、若竹が生長しきってしまうとわかりにくくなる。

 ハチクの葉は小さく、長さ5〜10cm。端正で美しい。肩毛は目立たず、上面から見ると無いように見える。ハチクの稈の密度は高く、とても中に入れそうに無いほどである。細いが故に密度が高いのであろうが、手入れされていないので枯れた古竹が折り重なっており、突破する気力は無い。

 このような密な竹林なのであるが、少なからずマダケ侵略の脅威があって、灰色を帯びた稈の中に美しい緑の稈が混ざっていたりする。林外からみると、マダケがハチクの層を突き抜けている。地下茎を伸ばして一挙に天空を占拠するマダケの勢いである。マダケとハチクの群落が隣接している場合は、ハチク林の維持には人為的管理が必要かもしれない。
ハチクの群落
ハチクの葉表から見た葉の付け根(肩毛は見えない)肩毛は開出せず少ない肩毛は開出せず少ないハチクの稈鞘ハチクの筍の先端部ハチクの稈虫の入ったハチクの稈
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