オニシバ Zoisia macrostachya (イネ科 シバ属) |
東松島の野蒜、応急修理された防波堤に登ってみると、砂浜が残っていた。東日本大震災の半年後のことである。砂浜にはクロマツの若木が生き残っており、コウボウシバやオニシバなどが生育していた。震災の発生を知らなければ、大変な状態からの再生であるとは気づかないであろう。 堤防の内側の大きく育ったクロマツの被害は大きく、津波によってなぎ倒されたものが多い。塩害によって枯れたものは塩の影響が長く残りやすい立地や土壌の場所であって、海岸の砂地の場所は塩が抜けやすく、津波によってもたらされた塩分に関しては、影響が少なかったように見えた。もちろん、砂は大移動したに違いないが、1枚目と2段の左側の画像に示すように、急速な回復が見られた。オニシバのしたたかさがわかる。 オニシバは北海道から沖縄の海岸の砂浜に生育する多年草。砂の中に茎を伸ばして群落を広げている。草丈は15cmから40cmにもなると図鑑には書いてあるが、もっと低い場合のほうが多い印象がある。砂に埋もれつつあるほうが、この植物にはよいのかもしれない。地下茎は意外に浅く、風で砂が飛ばされると地表に出てしまう。背丈が低いので、立地が安定した結果、より高い植物が侵入してくると生育できなくなるに違いない。 |