グロリオサ Gloriosa superba (ユリ科 グロリオサ属)
 見たことがないユリが花束に入ってくるようになった。花屋さんに聞いてみるとグロリオサであるという。種小名にgloriosaと付く植物はたくさんあるのだが、属名でグロリオサらしい。ちなみに、APG体系では、イヌサフラン科に属するとのこと。

 グロリオサ属の植物は熱帯アフリカからアジアに分布するツル植物で、葉の先端は細くなって粘着性の巻きひげになるのだそうだ。単子葉植物のツルは少ないので、興味はあるのだが生花ではそのような葉までは拝むことができない。塊茎を作る多年草で、数本の茎を出し、長さ5〜8cmの楕円形の葉を出し、その先端は3〜5cmの巻きひげとなり、よじ登っていくのだそうだ。

 特徴のある花は夏から秋にかけて咲く。長い花柄の先端に下向きに咲いて、花弁を跳ね上げていることになる。和名はキツネユリ、ユリグルマ・・・どうもしっくりとこない和名で使う人がいないようである。シクラメンにかがり火花を使われてしまって、よりふさわしい名前が見つからないのであろう。英語名はClimbing Lily, Creeping Lily, Glory Lily。

 花の構造は3+3の六角で放射総称。しかし、雌しべの柱頭は直角に折れ曲がって、真横を向いている。こちらから虫が飛んでくるに違いない! と確信している構造となっているのだろうか。実際に生育しているところを見たことが無いので、この雌しべの曲がっている方向がどのようなルールに基づいているのかは知ることができないが、興味ある問題である。日本でも温暖な地域で栽培されているとのことだが、この直角に曲がる柱頭の理由は、来訪する訪花動物との関係なのであろうから、原産地でしかわからないかもしれない。
花束の中のグロリオサ(葯は除去されている)開いたばかりのグロリオサ
直角に曲がった雌しべの柱頭グロリオサ Gloriosa superba上から見た花下から見た花雌しべの柱頭子房から曲がる柱頭の基部
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