スカシユリ Lilium maculatum (ユリ科 ユリ属
 スカシユリは本州の太平洋岸では紀伊半島以北、日本海側では新潟県以北に分布する多年草。日本海側と大平洋側のスカシユリは開花期などが異なり、区別する意見もある。海岸の岩場や落ち着いた砂丘などに生育する。地下に卵型の鱗茎がある。茎は60cmほどになるとされるが、風の強い場所では10cmから30cmほどの事が多い。葉は茎に付く間隔が短く密生しており、厚くて光沢がある。花は6月から8月にかけて咲き、茎の高さに比べるとずいぶんと大きな花である。長さは7〜10cmほどで花弁の間に隙間があり、スカシユリの名前の由来になっている。花弁の色は黄赤色で、赤褐色の斑紋が彩りを添えている。美しいので、昔から栽培され、多くの品種がある。
 スカシユリは草丈を低くすることによって風衝地に適応している。近隣の民家の庭先で栽培されているものも、草丈は高くなっていない。強い風と塩分への適応の結果、風当たりの弱い場所においては高さ競争で遅れを取り、生育はできなくなっている。強い風の吹く海岸崖地は、スカシユリにとっては生存競争の少ない楽園ということになる。
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