リュウキュウサギソウ Habenaria pantlingiana (ラン科 ミズトンボ属
 沖縄島の山中、登山道の脇にランが生育していた。花の色は抑えた薄緑色、しかし花の形は見方によっては派手。ランの花は3枚の顎片と3枚の花弁から構成されているのが普通。リュウキュウサギソウは、これらの花弁状のものの先端が延びて糸状に、花序の周辺部分で絡み合っているような構造となっている。そのように見ると、サギソウの花弁が糸状になりたがっているようにも思えてくる。どのような来花昆虫が花粉を媒介しているのかは知らないが、結構邪魔する花の構造であり、小さくてバリアーの中に入り込む虫か、ガードの外でホバリングしならが長い吻を出す蛾であろうか、などと想像がたくましくなる。

 日本のサイトでは、奄美大島から台湾にかけて分布するとしているものが多い。学名で検索してみると、英語名は Pantling's Habenariaとなっており、インドの植物学者の名前を冠したトンボソウの訳となる。インド、タイ、ベトナム、中国、東ヒマラヤ、ネパールにも分布し、海抜400mから1800mの常緑広葉樹林に成育が見られるとの記載がある。標高は気候帯によって大きく異なるが、要は常緑広葉樹林の日陰から半日陰の場所に生育するということであろう。

 常緑のランであり、結構環境を選り好みするらしいが、幸いにも4株の開花と出会えた。環境省および沖縄県は絶滅危惧種に指定している
種名一覧科名一覧雑学事典目次Top