ヤエヤマヤシ Satakentia liukiuensis  (ヤシ科 ヤエヤマヤシ属
那覇の公園に植栽されているヤエヤマヤシ筒状の美しい葉鞘

 ヤエヤマヤシは名前の通り石垣島や西表島などの八重山諸島に固有なヤシ。筒状で光沢がある葉鞘が特徴の1つだそうで、美しい。中国のお寺などで見られる、漆塗りの円柱を連想させる。姿が美しいので街路樹や公園樹としてよく利用されるとの事。希少種や郷土種を公園樹として利用することは、外来種を利用するよりも奨励されるべきであろう。

石垣島米原のヤエヤマヤシ石垣島米原のヤエヤマヤシの幹

 古いスライドフィルムを整理していると、石垣島のシリーズの中にヤシ類があった。種名も地名も書いていない。沖縄で生態学会が開催された時のものであることは確実であり、1987年の4月だったはずである。検索してみると、天然記念物に指定されている「米原のヤエヤマヤシ群落」が浮かび上がった。
 林内の撮影は現在でも難しいが、当時のスライドフィルムでの林内の撮影は難しく、記念に撮影するだけはしてみようか、といった程度の撮影であった。予想通り、見上げた写真はぶっ飛んでしまっており、ほぼ白黒であるが、光沢のある葉鞘はかろうじて確認できる。群落内の幹には地衣類がたくさん生育しており、公園に植栽された条件よりも湿度が高いのであろう。

1987年の米原ヤエヤマヤシ群落の状況
2017年の google 画像

 上の画像は1987年の4月の「米原ヤエヤマヤシ群落」の様子。道路は舗装されたばかりであり、道路の先端左側に天然記念物の標柱が写っている。下の画像は30年後、2017年のgoogleのストリートビューの画像。電柱が立って食堂や喫茶店などができている。ちゃんとした(?)観光地に発展している。
 植生的には、ヤエヤマヤシの樹高がかなり高くなっていることがわかる。下層の樹木も高くなっているはずなので、ヤエヤマヤシの生育も順調なのであろう。まずはめでたいということだが、ヤエヤマヤシの更新がどのような状況なのか気にかかる。どのような環境に侵入できたのであろうか?というわけである。簡単に見ることができる航空写真では1962年のものが最も古いのではないかと思うが、現在とほぼ違わないように生育しているように見える。群落の発生は昭和より前なのかもしれない。

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