ホテイアオイ Eichhornia crassipes (Mart.) Solms-Laub. (ミズアオイ科 ホテイアオイ属
 ホテイアオイは南米原産の帰化植物。当初観賞用として持ち込まれたものであろうが、各地の湖沼などで大繁殖して問題を引き起こしている。

 葉柄の基部が膨れて浮きとなっている。夏に薄紫色の花を咲かせる。夜間は花を閉じ、朝の7時ではまだ開いていない。10時には開いているので、日差しが強くなった8時ころに開花するのだと思う。茎を出して株分かれして繁殖する。冬には枯れるが翌年も出てくるところを見れば、結実するのであろう。

 子供の頃の思いでは、夏祭り+金魚すくい→金魚鉢にホテイアオイは。夏の風物詩であった。金魚鉢に浮かべておくと茎を出して株別れし、次第に増えてくる。池に浮かべておくと、金魚は根を食べたり、根に産卵したりしたものである。大増殖して問題となるなど、とても想像は出来なかった。水質の悪化に伴っての大繁殖であろう。

 最初にホテイアオイの大群落を見たのは、児島湖の調査をお手伝いしていたときのことであった。IBPの調査の際だから、1972年頃と思う。草丈は1mにもなり、モーターボートの行く手をさえぎって進むことすら不可能な状況で、船の上に立ち上がらないと進路を見通すことも出来ないほど大繁茂していた。葉柄の膨らんだ部分はビール瓶を思わせるほどで、これが水門をとおって海に流れ出て、魚網などに被害を与えていたのであった。

 このような旺盛な成長・繁殖は、水中から大量の栄養分を吸収していることを示しており、水質浄化に利用することも試みられている。しかしながら増殖したホテイアオイを定期的に収穫する必要があり、これに大変な労力と経費が必要であって、試験的な試みから脱却できていない。
 収穫したホテイアオイの利用としては、肥料や飼料が有力であり、変わったところでは焼酎の原材料にも利用されている。
群生するホテイアオイ Eichhornia crassipes
ホテイアオイの花序ホテイアオイの花
花の中心部早朝(6:30)の花
葉柄の基部が膨らんで浮きになっている葉裏面の拡大

下の2枚の画像は岡山市の百間川のものである(撮影は1998.8.18)。現在ではこのような大繁茂は見られなくなった。水質がある程度浄化されたということであろう。ホテイアオイは富栄養な場所では大きく成長する。貧栄養な場所で生育すると根がよく発達するが、富栄養な場所では根の割合は小さくなる。この写真でわかるように、当時の間川のホテイアオイは根の発達は不良である。葉は競い合って高くなっている。
岡山市百間川 1998年8月の大繁茂
富栄養な環境で大きく育ったホテイアオイ
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