ミズアオイ Monochoria korsakowii (ミズアオイ科 ミズアオイ属
 ミズアオイは北海道から九州、朝鮮・中国・ウスリーに分布する1年草。古名をナギといい、葉を食べたという。昔は水田や沼地、池、河川の下流域などに広く生育していたのであろう。現在は除草剤や基盤整備、河川の性質の変化などによって激減しており、環境省RDBでは絶滅危惧U類に、岡山県RDBでは絶滅危惧種に指定されている。
 草丈は20〜50cmで柔らかい。葉は5〜25cmの葉柄があり、根生葉のものは長い。葉の形は心形でつやがある。9月から10月にかけ、茎を伸ばして先端に花序を形成する。花は青紫色で美しく、直径2.5〜3cmで1日花。花被片は6枚で、内花被片は外花被片に比べて幅が広い。雄しべは6本で、その内5本の葯は黄色。残りの1本は下側に垂れて紫色。雌しべは1本で下側に曲がり、紫色の雄しべと反対側の位置にある。
 1年草の種子は、少なくとも一部は簡単には発芽せず、土の中で埋土集団(シードバンク)を形成することが多い。ミズアオイもそのような性格があり、いったんは姿が見えなくなっても、生育していた場所の土壌を耕したりすると、再生することが知られている。沼地のような立地は変化が激しく、ヨシのような背丈の高い植物が繁茂するとミズアオイのような背丈の低い1年草は生育が困難になる。いつしか生育が可能な場所ができることを願って土の中にはたくさんの種子が待機しているに違いないが、はたしてそのような場所ができるでしょうか・・・・・
ミズアオイミズアオイの花序
ミズアオイの花:この花では,5つの黄色いおしべと左下に青色の葯をもつおしべ、右下に雌しべが見える。ミズアオイの葉
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