ヒメガマ Typha angustifolia (ガマ科 ガマ属) |
ヒメガマは北海道から南西諸島の広い地域、世界では温帯から熱帯に広く分布する多年生の草本。ガマに比べて沿岸域に多く、内陸部には少ない。沿岸平野の放棄水田やため池の湖岸などの沼沢地に生育する。高さは2m程になり、ガマとほとんど変わらないが、葉は細く、幅は1cmを越える程度である。細い葉で立ち上がるためには葉はガマに比べてより強いことが必要であり、より堅い。名前はガマに比べて葉が細いことに由来する。 花はガマよりも遅く、6月の中頃から花穂を伸ばす。花穂はガマに比べて細長く、雄花群と雌花群が5cm前後離れている点はガマやコガマとの簡単な区別点である。上部に付く雄花群は花が終わると脱落するが、花軸は長く残っており、雄花の付着痕から花穂群が離れていたことは確認できる。
岡山県の県北、蒜山(ひるぜん)地方ではヒメガマで手提げや背負いかご(がまこしご)、雪靴などが作られてきた。内陸に位置するのでガマで作っているとbはかり思っていたが、材料はヒメガマであるとのこと。自然には生えにくいので材料の調達に苦労しているとの事。葉をそのまま使うのではなく。縁を切り取って幅をそろえたり、細く裂いて紐に撚り上げて使用するなど、すばらしい民芸品である。 |