コウライイチイゴケ Taxiphyllum alternans (ハイゴケ科 キャラハゴケ属
 コウライイチイゴケは本州から九州、朝鮮・中国・極東ロシア・北米東部などに分布する。生育の確認数が少なかったことから、絶滅危惧種に指定されている。
 以前から河川の調査中に、比較的大柄な蘚類の生育が気になっていた。胞子体をつけているのには出会ったことがなく、渓流の岩や中・下流のクサヨシなどの群落に引っかかるように、あるいは流水中の水草に引っかかって生育している。今回の画像は、旭川下流の高水敷での学生実習中に見つかったものである。例年は雨が降れば水が溜まる、排水不良な場所である。チガヤやネズミムギなどの生育する草地であり、入梅前後に刈り取りが実施される。
 胞子体が確認されていないことから、洪水などによって流され、下流に分布を広げているものと思われる。生育立地はかなり広く、極度に乾燥しない限り、水中から水際、湿った高水敷にまで生育しており、生活力旺盛なコケのように思われる。どうやら、このような場所を普段調査しないために、絶滅危惧種に指定されたらしい。生態調査ではこのコケが出てくるのは当たり前なのだが、生態屋からコケ屋への情報伝達がが分断されている。
コウライイチイゴケの生育状況生育状況
拡大このような高水敷の川よりの場所で生育を確認

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