ムラサキミズゴケ Sphagnum magellanicum (ミズゴケ科 ミズゴケ属)
 ムラサキミズゴケは世界の温帯に生育する大型のミズゴケ。高層湿原の中では、やや栄養分、あるいは水分の多い場所に生育し、イボミズゴケよりも周辺に生育することが多い。名前の通り、赤紫色を帯びることが多いが、色は変異が大きく、色だけに頼ることは難しい。
 緑色以外のコケ植物は多くはないと思うが、湿原に生育するミズゴケには、いくつか色をもつものがある。チャミズゴケ・アカミズゴケは、名前の通り茶色や赤色に色づく。オオミズゴケも秋には茶色に紅葉(?)する。このような通常は緑色であるが、乾燥が続いたり冬になると色が変化する場合には、葉緑素が少なくなって地の色が見えるようになるものと思われる。ムラサキミズゴケやチャミズゴケなどは、常時、葉緑素以外の赤系の色素を多量に持っており、これが植物体の色となっている。強すぎる日光を色素によって和らげているものと思う。
 ムラサキミズゴケの色は厄介である。栄養分の多い場所では、緑色が濃くなり、濃い緑色に赤色が加わった色となる。湿原の中にもネズミが棲んでおり、排尿する場所ではこのような色になったものが見られる。中には色が淡く、ほとんど黄緑色のものがあって、イボミズゴケとの区別は色だけでは不可能になる。

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