彦根城の「いろは松」
見えない地下部分、根の発達状況について知りたいと思うのだが、なかなか観察するチャンスが少ない。
アカマツに関してはある程度の観察回数があり、様子はわかっているつもりなのだが、クロマツは様子がよくわからない。
ただ、海岸の砂浜に生育するということから言えば、アカマツのように直根を発達させれば海水に届いてしまうので、直根はあってもあまり発達はしないのであろうと予想している。
大きく生長した海岸の防風林では、クロマツの幹が風下側に傾いているのを見るが、これも根が深くないことを示していると思う。

さて、彦根城の登城口には「いろは松」と銘打ったクロマツの並木がある。
植えられた当初は47本であったので、「いろは」であり、300年の樹齢ということだが、かなり植え継がれているように見える。
この松の植栽に際しては、人馬や車などの通行の邪魔にならないよう、根が地上に張り出さない土佐松が選ばれて植えられたという。
当時は大八車を人力で引いていたことが多かったわけで、わずか数cmの出っ張りでも乗り越えるのに苦労したので、並木の根の張り方にこだわって選定・植栽したということがどこかに記録として残っているのであろう。

実際に根が地表に張り出しているのかどうか、舗装されてしまっていると判定はできないが、確かに根張りは悪く、こんな状態では盆栽にはできないであろうと思われた。
もっとも、根の張り方は土壌や水分条件などとも関係があるわけで、お堀の潤沢な真水と盛り土の登城路は下方向に根を張りやすい条件はそろっているともいえる。
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