イソヒヨドリ Monticola solitarius (ツグミ科 イソヒヨドリ属)
 大学の中を歩いていると美しい小鳥の鳴き声が聞こえ、見上げてみると屋上から顔を出している黒っぽい鳥が見えた。今から思えば、屋上の縁から地表面を観察し、捕らえるべき虫を探していたのであろう。この小鳥が気になって、その気で探してみると避雷針やテレビアンテナにとまっている。その小鳥を窓の内側から近づいてみるチャンスがあったが、なんとムカデをくわえていた。ちょっと気味悪く、そして獰猛な鳥のように思えたしだい。

 5月の後半、せっせと夫婦で虫を運んでいた。かなりの頻度でケムシやキリギリスの仲間を一度に数匹運んでくる。見つけるだけでも大変そうだが、同じ種類を一度に三匹! おもに地上で餌を探すということで、ムカデを捕まえてきたので納得であるが、かなり戦闘したに違いないが、そのような状況を見てみたい。世界的には標高2,000〜4,000mの高山の岩石地帯に生息するのだそうだが、日本では名前のとおり、海岸に生息することが多いとのこと。大学での定着は、ビルを岩壁と見立ててのことであろう。

 オスは避雷針の先端などの見通しがよい場所でウオッチしていることが多い。メスは虫をたくさん運んでくるが、巣に入る前に少し時間をとっているように見える。建物と建物を結ぶ4階の渡り廊下に巣を作っているので、学生さんが通る間合いを計っているのかもしれない。6月のはじめには虫を運ぶ姿は見なくなった。雛が巣立ったのかも知れない。飛ぶ速度は速く、あっという間に視界の外に出てしまう。

 しかし、鳥の撮影は結構難しい。狙えるチャンスが少ないのと、逆光になることが多いので暗く写って色が分からなくなってしまう。このイソヒヨドリも黒っぽい鳥という認識しかなかったが、名前がわかって調べてみるときれいな鳥で、特にオスは美しい。連想としては、鳴き声の美しさからクロウタドリであったのだが、装いは美しく、名前を知らなくても多くの人が注目している。
避雷針にとまるイソヒヨドリイソヒヨドリのオス
イソヒヨドリのオスムカデを運んできたオス
キリギリスの仲間を一度に三匹! お母さんすごい!ケムシを運んできたお母さん
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