シマオオタニワタリ Asplenium nidus チャセンシダ科 チャセンシダ属
 那覇の首里城界隈を歩くとやけにオオタニワタリが目に付く。街路樹などに括り付けられているのもあって、南国情緒を増幅させるために一役かわされているのであろう。今まで居た居ていたイメージはジャングルの中に生育しているというものであったが、街路樹に付けられたものも元気に生育しており、一端定着すると結構環境への耐性が高いのであろう。

 調べてみると胞子嚢群が葉の幅の中ほど前後にとどまる点で区別されるシマオオタニワタリであった。近年、鉢物として栽培されるのはシマオオタニワタリのようで、路傍に生育しているところを見ると、雑草的な強健さを備えているのであろう。

 高い木に着生しているものはわかりにくいが、地表面に生育しているシマオオタニワタリの中心部には、落葉などがたくさん落ち込んでいる。葉群の構造はまさにリタートラップであり、落葉などを積極的にキャッチして栄養分としている。このような戦略はビカクシダやアナナスなどの着生植物と同じである。長い年月を経過していると思われるものからはハマイヌビワなどが生育している場合があって、遷移をおもわせる。

 日本では九州、琉球列島に分布し、世界では熱帯の東南アジア、ハワイ、インドネシア、フィリピン、台湾などに分布する。英語名はBird's-nest fern, nest fern; 鳥の巣シダである。
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