シノブ Davallia mariesii (シノブ科 シノブ属)



 シノブは日本全国に分布する多年生のシダ植物。岩上や樹木の幹に太い茎を伸ばし、所々から葉を出して群落を形成する。乾燥には強い耐性がある。和名の由来は土がなくても堪え忍ぶとの意味であるという。冬の間は葉を落とし、春に葉を展開するが、通常の栄養葉と胞子を付けた胞子葉を形成する。
 昔から観賞用に栽培され、ミズゴケなどを芯にしてシノブの茎を巻き付け、シュロ縄などで整形して「釣忍(つりしのぶ)」などに仕立てたり、鉢に盛り上げて植栽して鑑賞してきた。夏の夕涼み、シノブの釣り鉢に水をかけて涼ををとる風景は廃れてしまったが、近年は葉がより小さい園芸品種と思われるものがよく販売されている。
シノブシノブ(岩上をはう地下茎)
シノブの栄養葉シノブの胞子葉シノブの胞子嚢(裏面)
左から栄養葉、胞子葉、胞子嚢(裏面)