ヒメカナワラビ Polystichum tsussimense (オシダ科 イノデ属) |
岡山県中部、海抜500mほどの急傾斜地を貫く林道の脇、硬質の岩盤の割れ目に特徴あるシダが生育しているのが印象的であった。どうやら、硬い岩の割れ目がすきなようで、その生活様式が気になったわけである。葉はカナワラビの仲間のような金属光沢があり、それほど大きくは無いので、整った姿に見える。 カナワラビと名の付くシダの多くはオシダ科のカナワラビ属であるが、本種はイノデ属である。胞子嚢は特徴的で、黒褐色である点、印象深い。葉柄基部の鱗片は黒くて長く、1cmに達してイノデらしいl。 本種は東南アジアに生育し、英語名はKorean rock fern である。韓国の岩壁シダというニュアンスの訳になろうが、生態的に当を得た名前である。常緑であるので、落葉広葉樹林下では落葉に埋もれてしまわないように、あるいは積雪があっても雪が積もらないような地形に生育するという戦略であろう。 |