スギナ Equisetum arvense L. (トクサ科 トクサ属
 スギナは北海道から九州、北半球の暖帯から寒帯にかけて広く分布する夏緑性の多年生シダ植物。生育地は広範であり、湿原の中にも生育するし、乾燥傾向の場所にも生育し、時として畑の害草としてやっかいがられる植物でもある。胞子とともに地下茎でも繁殖し、この写真のように純群落を形成することもある。このような密に生育する場所では胞子嚢穂を形成することは少ない。

 春に胞子茎をだす。この胞子茎を筆に例え、土筆と書いてツクシと読ませ、食べた経験を持つ方も多いであろう。胞子茎が枯れると、光合成を行う栄養茎が伸びてくる。栄養茎は節で枝分かれし、内部は中空。普通我々が見ているスギナは、実はこの枝分かれした茎であり、葉は退化して節の部分に鞘状となっている。俗に袴(はかま)と読んでいる部分が葉である。

 スギナという和名は、姿をスギの葉に例えたものである。植物体には珪酸をたくさん含んでおり、植物体にふれるとシャリシャリ感がある。スギナの群落を鎌で草刈りすると、すぐに鎌が切れなくなる。同じ属であるトクサも珪酸をたくさん含んでおり、サンドペーパのように研磨する材料として使用した。歯磨きにも利用したという。

 英語名は field horsetail, common horsetail 野原馬の尻尾、並馬の尻尾ということになろう。杉菜が和名であるが、日本人では馬のシッポは思いつかないであろう。

 葉は退化していわゆる袴になっている。食べるときにはこの袴を取るのが大変で、ツクシをたくさん採りすぎて後悔することも毎年のこと。胞子嚢穂が緑の時には独特の苦味があり、これがツクシの味である。胞子が飛んでしまって緑色が抜けてしまうと苦くなくなって素直で誰でも食べられるものになる。小生は苦いのが好き。
スギナの群落

最初にツクシが出てくる ツクシはスギナの胞子茎

スギナの胞子茎:土筆 若い胞子嚢穂

六角形の胞子嚢床から緑色の胞子が入った袋が下がっている 六角形の胞子嚢床から緑色の胞子が入った袋が下がっている

袋から胞子が散布されつつある 胞子が散布されてしまった白い胞子嚢

胞子が散布されてしまうと苦くない 散布し終わった胞子嚢穂

葉は退化し、袴と呼ばれるものになっている スギナの栄養茎

栄養茎の拡大 一年に一度はツクシを食べたいものです
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