デンジソウ Marsilea quadrifolia (デンジソウ科 デンジソウ属) |
デンジソウは葉の形が漢字の「田」に似ており、昔は田圃にもよく生育していたので、田字草と名前が付いた。草と名前が付いているが、胞子で繁殖するシダ植物である。最近はアクアリュームの水草の1つとして、ウオータークローバーと名付けられて販売されていたりする。昔は水郷地帯や水田、水田周囲の水路などによく見られ、水田雑草の1つにあげられるほどであったが、基盤整備や除草剤の発達などによって激減し、現在では絶滅が危惧される「危急種」に指定されるほどに減少してしまった。 デンジソウは小さな水草なので、水深の変動が大きな場所では生育しない。数十cmまでの浅い沼地状態の環境が適地と思われ、葉の形からは、流速が速い場所では生育が困難であろう。しかしながら、河川にも時折出現する。夏から秋にかけて枝を出して胞子嚢を形成し、地下部で越冬する。 この画像は岡山県自然保護センターで撮影したものである。人工的に作った池に移植されたものであるが、群落を形成してよい状態で生育している。もともとは水田雑草として嫌われるほどに生育していたものであり、旺盛な生育能力を持つものなのであろうが、このような植物の生育する立地環境がほとんど無くなってしまった。デンジソウを目印として、このような環境に生息する動物達も合わせて保護保全したい。 |