イワガネソウ Coniogramme japonica (ホウライシダ科 イワガネゼンマイ科
 イワガネソウとイワガネゼンマイは姿形も名前もよく似ており、はて?「ゼンマイ」だったっけ?「ソウ」だっけ?と迷ってしまう。大学生の頃、「合せんゼンマイ合する草」と教えてもらった。すなわち、葉脈が平行脈で合しないのがイワガネゼンマイであり、葉脈が部分的に合一し、網目状になるのがイワガネソウというわけである。葉の幅と質感としては、ゼンマイというだけあって、イワガネゼンマイのほうが小羽片の幅が広く、ゼンマイに似ている。図鑑などの表現を借りれば、小羽片の幅は先端部で急に狭まる。一方、イワガネソウの小羽片は中部から先端にかけ、次第に細くなってやや堅く、光沢も強くゼンマイとは異なった印象がある。

 岡山県の瀬戸内海沿岸地域は乾燥するのでシダ植物の生育が少なく、出現する種類も限られる傾向が高い。シダ欠如地帯と呼ばれることすらある。分布図を見ると、ぽっかりと瀬戸内海地域、特に岡山沿岸域で分布欠落する種が多い。イワガネゼンマイとイワガネソウは両者ともやや少ないシダ植物であるが、どちらかというとイワガネソウのほうが少ない。両者とも花崗岩地域では見つからず、堆積岩地域の谷などに生育している。
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