オキナワウラボシ Phymatosorus scolopendria (ウラボシ科 オキナワウラボシ属
 沖縄の首里城を歩いていると、道端に元気の良いシダが生育していた。1つはオオタニワタリ、もう1つがこのシダ植物で、葉裏には見事な胞子嚢群があり、ウラボシ科のシダであることはすぐにわかる。しかし、時折草刈されるような立地にすくすくと生育していることが意外であった。その状況が下から2段め左側の画像。

 垂直の石崖に群生しているところもあり(2段目の画像)、葉が長いためもあって、垂れ下がる傾向があった。本来はすっきりと立ち上がるそうだ。オキナワウラボシは地下茎で広がるそうで、1枚目の画像では定着した個体が周辺に広がっていく様子が見て取れる。最初は分裂していない単葉であり、その後ミツデウラボシ状態の葉に、さらには羽状複葉となり、数も増えていくという系列である。単葉状態の葉にも胞子嚢群を付けている。もちろん常緑。

 日本における分布は沖縄島以南、小笠原。世界的にはオーストラリア、ニューカレドニアなどの旧世界の熱帯地域に広く分布し、ハワイにも導入されて野生化している。英語名はmonarch fern(皇帝シダ), musk fern(ジャコウシダ), maile-scented fern(ハワイのレイに使う香りの良いシダ)など。ジャスミンのような香りがするとの事で、揉んで見ればよかった・・・残念。
ハワイオアフ島のオキナワウラボシと見られるシダ
 ハワイに帰化していることを知ると、そっくりなシダを見たことを思い出してファイルを見直してみた。そのとき、フラダンスのレイに使うシダであると説明を受けた記憶も甦った。その時はなぜこのようなものをレイに使うのかが不思議であったが、良い香りがあるからであろう。その香り故に導入され、野生化したというわけであろう。

 このように分布が広いと多様な変異があり、分類はなかなか難しいとの事。
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