イワヒバ Selaginella tamariscina (イワヒバ科 イワヒバ属
 イワヒバは東アジアから東南アジアの山地に生育するが、冷温帯には生育しない。岩壁・岩上に生育する。水の滴る岩壁に多いが、乾燥にも良く耐え、乾燥すると葉を内に巻いて耐久体制となる。強い日照がある場所であっても、夜露が降りるような場所ではないかと思う。
 成長すると茎をのばしてソテツ状になるが、高等植物の茎とは異なるので、仮茎とよぶ。仮茎の先端からは枝を多数のばし、密に葉を付ける。古くから栽培され、いくつかの品種がある。和名は岩上に生育することと、ヒノキの葉に似ていることに由来する。
 子供の頃、このイワヒバは夏の風物詩であった。鉢に植えたものを夜店などで売っていたものである。昼間は葉が内巻きしているが、水をくれてやると葉が開き、なんとも涼しげな風情であった。こんな植物はどこに生えているのだろう・・・・? イワヒバの自生地を見たのは大学生の頃であり、崖に点々と張り付いて生育しているのを見つけ、興奮したことを今でも鮮明に憶えている。本画像は香川県の安山岩の崖である。常に水が滴っている場所であり、時には盗掘されるのであろうが、なかなかの個体数であった。さすがに鉢植えでは実現できない自然の景観であり、このまま残しておきたいものである。
崖に生育するイワヒバイワヒバの葉身状の茎
イワヒバ内巻きしたイワヒバ

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