加計学園生態システム園の森林植生
〇寺下史恵1・斎藤由希子2・能美洋介1・波田善夫1 (1岡山理科大・総情・生地、2エイトコンサルタント)
F. Terashita, Y. Saitou, Y. Noumi & Y. Hada : Forest vegetation in Kake Botanical Garden,Okayama City, Japan.
加計学園生態システム園は岡山県南部に位置しており、瀬戸内気候に属する温暖小雨の地域である。本研究では2000年8月から12月にかけて、生態システム園86ヶ所を植生調査し、調査資料から群落区分を行い、得られた群落区分により植生図を作成した。また、2500分の1の地図から5mメッシュのDEMを作成し、森林植生と地形・地質との関係解析を行った。表操作の結果加計学園生態システム園はアカマツ群落、コナラ群落、アラカシ群落などの11植分に区分できた。植生図とDEMから作成した地形図を比較したところ、地形と植生の対応関係が高い地域とそうでない所があり、その境界が地質境界と一致していることから、地質によって地形と植生の対応関係が異なっていることがわかった。次に作成した植生図から各群落の面積を算出しその割合を比較した。遷移速度の速い常緑広葉樹林の面積が小さいのに対して、コナラ群落などの落葉広葉樹林の面積が当地域の約4割を占めることから当地は遷移段階から考えると比較的若い森林であることが明らかになった。また、植生調査と植生図作成の過程で、耕作地がモザイク状に分布していたことが判明し、加計学園生態システム園は多様な山林利用の跡に発達した二次林であることが明らかになった。
日本生態学会中国四国地区第45回大会講演要旨
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