湿生植物の種子発芽特性
○尾崎聡子(岡山理科大・総情院)・長井響子・波田善夫(岡山理科大・総情)
 湿原の保全や水辺の環境作りへの利用に関する知見を得ることを目的とし、湿生植物を中心に発芽実験を行った。

実験方法:段階温度法(Washitani 1987)により、休眠を打破するための条件や非休眠種子の発芽可能な温度域を調べた。また発芽に及ぼす酸素濃度の影響を明らかにするために、溶存酸素量の異なる環境を設定し、発芽状況を観察した。

結果:段階温度法により、湿生植物は次の型に分けられた。
 1.非休眠種子であるか、多少の相対的な休眠を示す種:ミゾコウジュ・カワヂシャなど。
 2.低温で休眠が打破され高温で誘導される種:タコノアシ・オニスゲなど。
 3. 休眠打破のための変温要求性が大きい種:タコノアシ・メアゼテンツキ・ハナビゼキショウなど。
 また低酸素環境で発芽率が高かった種は、ビッチュウフウロ・ガマ・ヨシなどであった。

 段階温度法によるタコノアシの発芽。各グラフの右端の棒は温度上昇系では交代温度(12−25℃)、下降系では25℃においた後の最大発芽率。
日本生態学会第50回大会講演要旨集、270p. 
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