レッドロビン Photinia ×fraseri (バラ科 カナメモチ属
 昭和30年代であったであろうか、カナメモチの新芽があざやかなベニカナメモチの植栽が生け垣として流行したことがある。しかし、発根性があまり良くないので移植後の活着率が低く、病気が広がったこともあって、次第にすたれていった。近年、新芽が野生のものよりも鮮紅色であり、発根性の良い品種「レッドロビン」が開発され、再び生け垣や路側帯などに植栽される例が多くなった。レッドロビンはカナメモチオオカナメモチの交配によって育成された品種である。したがってベニカナメモチよりも葉が大きく、枝打ちが荒い傾向があるが、このレッドロビンも乾燥に強く、長期の干ばつにおいてもほとんど枯れることがない。水やりなどの管理が困難な場所における緑化には適していよう。

 レッドロビンの花は見かけるものの、果実が生った状態をみたことがない。交雑により作出された品種なので、不稔なのであろう。花の拡大をみると、葯が白いので花粉が成熟していないようである。このような稔性のない園芸品種は周囲の森林に逃げ出すことがないので、植栽樹種として好ましい基本要件を備えている。
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