アオギリ Firmiana simplex (L.) W.F. Wight (アオギリ科 アオギリ属)
 アオギリの花や果実は特徴あるもので、似た植物は記憶にない。花は7月頃に咲き始める。花期は長く、つぼみあり、花が終わって落ちるものありである。花弁は発達せず、リボンのように見えるのは顎で5枚。1つの花序に雌花と雄花が混在する。雄しべは合着して1本になっている。

 果実の形は特徴的であり、若い時期は5本のさやが垂れ下がったおもしろい形となる。8月のおわり頃からさやは内側が裂開して舟形になり、その周辺に種子が4つ付いている。さやの中には、4つの種子が入っていたわけである。このような果実の形は、5枚の葉が変形したものであると考える意見もあり、花と葉の関係をよく表している例の1つにあげられることがある。
 種子はなかなか離れず、冬にこの舟形の心皮とともに風に飛ばされて散布される。5つに分かれて舟形の部分が飛ばされるのか、5つまとまってプロペラ、あるいは落下傘のように飛ばされるのかは知らない。

 風で種子を散布する植物は、そよ風程度の時に飛ばされてしまうと、すぐ近くに散布されてしまうので大きな意味はない。強風の時に枝から離れるように設計すると、強風が吹かなかった場合には春まで枝先に残ってしまい、新芽が出るときには枝先から離れてしまう。
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