ベニバナボロギク Crassocephalum crepidioides  (キク科 ベニバナボロギク属
 ベニバナボロギクはアフリカ原産の帰化植物。1950年に福岡県で採取され、以後関東以西に広がっている。森林伐採跡地や山火事の跡などに生育し、数年間群落を形成した後、次第に消えていく。茎は太いがやわらかく、後下方の葉は不規則な羽状に分裂する。シュンギクに似た香りがあり、食用になる。 
 伐採跡や山林火災の跡地とはいえ、森林域に侵入する帰化植物は珍しい。近隣に生育地が無いと思える場所でも、伐採するといつのまにかやってきている。大きな種子散布能力と高い発芽・定着力を持っているのであろう。
 森林が伐採されると土壌に直接日光が当たるようになり、地温が上昇するとともに乾燥化する。林床に蓄積された落葉などは分解しやすくなり、栄養分が放出される。ベニバナボロギクは、このような森林土壌から放出される栄養分を吸収し、急激な成長を示すわけである。ベニバナボロギクやダンドボロギクなどの伐採直後に生育する1年生草本は、結果的に、放出されてしまう栄養分を吸収し、地域からの流出を防ぐ役割を演じている。日本の在来種には、このような伐採直後に生育する1年生草本はほとんどない。人類が森林に大きな影響を与える前の時代、日本の森林は伐採に相当するようなタイプの破壊が生じにくかったことを示しているのであろう。
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