ひっつき虫  

 果実の表面に鉤毛などを持ち、動物の毛や人間の衣服にひっついて散布される種子があります。これらの仲間の種子散布形式は「動物散布」と呼ばれます。これらの植物は、冬になっても種子を散布せず、茎の先端などにつけたまま、動物が通りかかるのを待ちかまえています。残念ながら動物に付着することが出来ない場合には、春になって茎の根元が腐敗することに、ようやく地面に散布されます。

1.センダングサの仲間
種  名種へジャンプ頭 花そう果生育地
アメリカセンダングサ
頭花は総包片が長く伸びて緑の花弁状となっている。筒状花が目立ち、舌状花は通常隠れて見えないが、時として黄色い舌状花が見えることがある。そう果は扁平で先端の棘は2本。棘とともに長さ11mm前後。富栄養な水湿地に生育する。
センダングサ頭花は黄色で筒状花と黄色い舌状花からなっている。そう果は4稜があって細長く、先端に棘を3〜4本持つ。棘とともに長さ17mm前後やや湿り気のある草地に生育(?)
コセンダングサ頭花は黄色で、通常は筒状花のみからなっているが、時として白い舌状花を持つことがある。そう果は4稜があって細長く、先端に棘を3〜4本持つ。棘とともに長さ12mm前後堤防法面、荒地や放棄畑などに生育
コシロノセンダングサ
頭花は黄色で、白い舌状花を持つ。上のコセンダングサとは変種の関係にあり、結局のところ明瞭な舌状花を持つか持たないかが区別点となる。そう果は4稜があって細長く、先端に棘を2〜4本持つ。棘とともに長さ12mm前後。堤防法面、荒地や放棄畑などに生育


 注1:筒状花と舌状花、頭花
 注2:「そう果」

2.オナモミの仲間
オオオナモミ 路傍や湖岸、河川などに生育。
大きな果実の表面に先端が曲がった棘がある。



3.ヤブジラミの仲間 
オヤブジラミ 4月から5月にかけて花が咲く。
果実には柄があって、散開する。
果実は赤味を帯びる。
ヤブジラミ 6月の終わり頃から開花する
果実が密に付いて緑色である。
茎は繊細で伸び上がり、葉量が少ない。


4.イネ科の引っ付き虫
コチヂミザサ 明るい森林の谷筋や林縁などに生育。
葉は波打っている。
種子に長い芒があり、粘液とで引っ付く
ケチヂミザサ 明るい森林の谷筋や林縁などに生育。
葉は波打っている。
種子に長い芒があり、粘液とで引っ付く
チカラシバ 田圃の畦などに生育。
種子に長い芒があり、毛の中に絡まる。


ノブキ 湿った山道の路側や渓流の側などに生育。
果実に粘液を分泌する粘腺点があり、粘りつく。

5.そのほかのひっつき虫
ヒナタイノコズチ 路傍や荒れ地に普通。
果実の根元に棘状の苞があり、これで衣服などに付着する。
イノコズチ 暖地の樹林下や竹林中などに生育。
果実の根元に棘状の苞があり、これで衣服などに付着する。
ハエドクソウ 明るい広葉樹二次林などに生育する。
顎の一部が棘になり、これで衣服などに付着する。
アレチヌスビトハギ 道ばた、造成地などの荒れ地などに生育する。
果実の表面にかぎ状の毛が密生しており、これで衣服などに付着する。
キンミズヒキ 山道などの路側に生育。
果実の頂端に3mmほどの棘が多数あり、これで衣服などに付着する。


未アップ: ヌスビトハギなど



テーマ目次へもどる / HPにもどる