T.群落の構造と分布
4.極相植生の分布を支配する環境要因
 (2)降水量
     日本ではすべての地域で降水量が蒸発量を上回っており、砂漠などの乾燥地は存在しない。岡山市の年間降水量は1000mm程度しかないが、屋久島では年間4000mmを越える。

     年平均降水量の図を見ると、北海道や東北地方の太平洋岸、長野などの中部山岳地帯、瀬戸内で降水量が少ないことがわかる。しかしながら、平均気温との関係を考えると、北海道の旭川が6.4℃であるのに比べ、岡山の年平均気温が15℃であることを考慮する必要がある。北海道は雨量が少ないものの、気温が低いために湿度は高く、湿っているのである。日本の中では、瀬戸内地域が最も乾燥した地域であるといえよう。

     降水量が多い地域は東北・北陸から山陰にかけての日本海側および紀伊半島から四国・九州の太平洋側であることがわかる。しかしながら、日本海側と太平洋側の多雨地帯は降水が多い季節が全く異なっている。
     日本海側では冬季の積雪が多い。非生育期間における雪としての降水であり、植物の生育には、低温と雪崩や雪の圧力などの物理的な影響は大きい。一方、太平洋側の多雨地帯は植物の生育期間における降水であり、豊かな水が常緑広葉樹を中心とした森林を育てている。
     このような降水量と降雨時期の違いにより、日本の森林は太平洋側と日本海側で異なるのが普通であり、植生の背腹性となって表れている。

図は http://www.omsolar.co.jp/main/weather.shtml から引用

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