○ 水 質
 
  ・ 塩分濃度、電気伝導率
 
 塩分濃度と電気伝導率の季節変化を下図に示します。全保全区域の電気伝導率と塩分濃度を比較すると、昨年度の結果と同様に、側水路が最も高く、次いでひょうたん池、三日月池の順に低くなっています。それぞれの保全区域において、イトクズモの生育に必要な塩分供給の仕組みを工夫し設置していますが、特に暗渠を埋設する側水路は、より広い範囲から塩分を含む地下水が供給される構造となっています。その為、渇水期における地下水の塩分濃度変化の影響が顕著に現れたものと推察されます。また、9月において非常に高い値を示したのは、7〜8月の少雨と気温の上昇が、地下水の蒸発量を増加させた結果と判断されます。側水路に加え、ひょうたん池、三日月池でもイトクズモの生育に十分な塩分濃度(0.1%以上)が常時確保されており、昨年度と比べても大きな変化はないことから、塩分供給のしくみが現在も、良好に機能していると言えます。
 
図 保全区域における電気伝導率の季節変化
 
図 保全区域における塩分濃度の季節変化
 
  ・ pH
 
 pHの季節変化を下図に示します。昨年度の結果と同様に、イトクズモの生育に適するとされる7〜9の範囲にあり、これは事業前のイトクズモ生育地と変化しておらず、生育に適した水質が保たれていると考えられます。
 
図 保全区域におけるpHの季節変化
 
  ・ 水 温
 
 水温の季節変化を下図に示します。最高水温は昨年度とほぼ同じ値ですが、冬期の水温がやや低く、12月から2月にかけて、全保全区域において、水面に厚さ2cm前後の氷が張っていました。しかし、イトクズモの生育には特に影響はありませんでした。
 
図 保全区域における水温の季節変化
 
写真 凍り付いたイトクズモ(氷の厚さは1.5p)

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