12年度は、夏期の少雨により水位が低下し、池底が長期間陸地化したため、底泥上に様々な植物の侵入が確認されました。確認された植物は、セイタカアワダチソウ、ヨモギ、ノゲシなどのキク科植物、カヤツリグサ、タマガヤツリ、コゴメガヤツリ、ヒメウキヤガラなどのカヤツリグサ科植物、ケイヌビエ、イヌビエ、アゼガヤ、ヌカキビ、キシュウスズメノヒエ、ススキなどのイネ科植物、アカメガシワ、オオバヤシャブシなどの先駆木本植物です。これらの植物については確認時に除去しましたが、ほとんどの種が水位の上昇に伴い枯死するものと考えられ、当面はイトクズモの生育への影響は少ないと判断されます。しかし、水位が下がり底泥が長期間露出すると、多種の植物が侵入し、定着する恐れがあり、雑草の侵入防止の観点からも、ある程度の水位の確保が重要と考えられます。
注目すべき植物として、11年度に引き続き、オニバスの生育が確認されました。11年度は7月に1株確認され、10月に種子の結実が確認されています。本種は全国的に絶滅の危機にある貴重な植物であり。またイトクズモと生活環も異なるため、除草せず保全区域内に生育することを容認することとしました。12年度は6月に確認されましたが、夏期の渇水によって開花、結実をせずに枯死してしまいました。しかし、一般にオニバスの埋土種子の寿命は非常に長いと言われており、来年度以降もオニバスの生育する可能性は高いと考えられます。 |