ホウセンカ Impatiens balsamina (ツリフネソウ科 ツリフネソウ属)
ホウセンカは鳳仙花であり、熱帯アジア原産の1年草。昔は翼栽培され、学校教育などでも利用されてきた。学校教育では、茎の柔らかさを利用し、茎の断面の観察や、赤インクを吸い上げさせて導管の観察などに利用した。よく成熟した果実を軽く押さえると、果実は急激に割れて種子をはじき飛ばす。種子の自動散布として教材によく利用されたし、子供たちの遊び相手でもあった。花は夏から秋にかけて咲き、赤〜白色まである。
ホウセンカの花をよく見てみると、鮮やかな赤色の花弁が3枚(このうち左右にあるものは途中で2つに別れ、4枚の花弁のように見える)、そしてその外側に3枚のやや色の薄い花弁状のものがある。これは顎であり、その顎の一部は花の後ろ側に管状に突き出している。この管状のものを距(キョ)という。ホウセンカでは距は3本あるが、ツリフネソウでは顎の1つが大きく、距は1本しかない。雄しべは5本であり、合生して雌しべを覆っている。果実が割れて自動散布する点もツリフネソウと同様である。茎が多汁質で柔らかい点もよく似ている。
ホウセンカの雄しべは5本であるが、雌しべを取り囲む形で合着している。上左画像の白い部分が雄しべである。その中に雌しべが隠れている。このような状況では、雌しべの柱頭に自らの花粉がかかってしまいそうであるが、おそらく雄しべが先に熟し、これが脱落した後に雌しべの柱頭が出現することによって、自家受精をさけているのであろうと思う。