ウエスタン・ローズルート Rhodiola intergrifolia (ベンケイソウ科 ベンケイソウ属) |
カナディアンロッキーのハイウッドパス、登っていくと海抜2300m付近から針葉樹林は広い高山草原へと変化した。氷河時代には氷河があった、カールのような地形に見えた。この地域では海抜2300m以下は広く氷河に覆われていたそうで、そこまでは氷河に削られた急傾斜の斜面、傾斜の緩い地域は氷河が誕生する雪溜まりのような状況であったのかもしれない。周囲の峰々は地層が明瞭で、節理は褶曲しつつ立っており、すざましい隆起の力を感じるものであった。色は白く、石灰岩を思わせるが薄く小さく割れており、ざらざらと堆積していた。そのような場所の海抜2400m付近が本種の生育地であった。 ウエスタン・ローズルートは草原、崖、崖錐などに生育する多年草で草丈は最大で30cmに達するとされるが、見たのは5cmほどの小型。多肉質の葉を持ち、黄色の花を咲かせ、果実はオレンジから赤紫色となる。雌雄異株。 秋山(2008)ではローズルート Sedum rosea として紹介されているが、その後属が変更になり、周極分布して日本にも生育するとされているイワベンケイソウ Rhodiola rosea に、最近では北米西部から極東に分布する種はR. intergrifolia に分類されている。英語名は western roseroot, king's crown, ledge stonecrop、それぞれウエスタン・ローズルート、王冠、岩棚ベンケイソウの訳となって、分布、姿、生育環境を示している。分布は極東シベリア、カムチャッカ、北西アメリカの亜高山、高山気候の地域である。ローズルートはバラの香りのする根の意味であり、薬草として利用される。 |