トウゴマ(ヒマ) Ricinus communis (トウダイグサ科 トウゴマ属) |
トウゴマはヒマとも呼ばれる中国原産の油用植物。北アフリカ原産であるが、和名からは中国経由で渡来したことがわかる。日本では大型の1年草であるが、原産地では常緑で、電柱ほどの高さまで高くなるという。種子から採れる油はヒマ子油(ひましゆ)と呼ばれ、強力な下剤として、医療にもちいられてきた。ヒマシ油は低温でも固まりにくいことから高高度を飛行する航空機の潤滑油としても利用され、第二次世界大戦前後では大量に栽培されたので、栽培経験を持つ人も多い。当時の品種は花が緑色のものであるが、現在栽培されているものは花や若芽が赤い「ベニヒマ(アカトウゴマ)」である。生花の花材として利用されるが、時折河原などに野生化したものが見られる。 草丈は2mほどになり、直径30〜40cmほどもある大きな葉をつける。7つに深裂するが、葉柄は葉の中央につく。ベニヒマでは新芽は赤く、成葉は葉脈の部分が赤い。花序は面白い配列であり、雌花が花序の上側に集まって付き、雄花は下側に付く(この逆が多い)。花の赤さは、なるほどトウダイグサ科の色であると納得できる。赤い果実は褐色に熟し、3つに割れ、中に長さ1cmほどの種子が入っている。種子の表面は暗褐色の地に金色の文様があり、美しい。じっと眺めていると、虫のようでもあり、クモの腹部を連想させる。 |
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