ウバメガシ  Quercus phillyraeoides A. Gray  (ブナ科 コナラ属)



 

 ウバメガシは沿岸地域の急傾斜地などに生育する常緑の木本です。ドングリがなることでもわかるように、カシの仲間です。ウバメガシのドングリはひしゃげていることが多く、一目でウバメガシのドングリであることがわかります。
 ウバメガシの葉は堅く、乾燥に強い抵抗力を持っています。瀬戸内海気候と同様に、温暖・乾燥を特徴とする地中海気候の地域では、やはり葉が堅い常緑の樹木からなる、堅葉樹林が発達します。瀬戸内海地域の急傾斜地は、温暖・乾燥であるとともに、地形的な要因に伴う保水力の低さ、そして汐風が当たるという大変厳しい場所です。このような場所にウバメガシは生育しています。

生育地の状況はここ




 ウバメガシは備長炭とよばれる良質の木炭の原料として重用されました。名前の由来は新芽が茶色いためという。岡山地方ではウバメガシを「ばべ」あるいは「ばべがし」と呼んでいる。刈り込みに強く、乾燥にも強いために生け垣にもよく使われている(右の写真は理大7号館前の生け垣)。



 ウバメガシのドングリの中には2枚の子葉がはいっている(写真右)。この子葉は、栄養の貯蔵庫であり、普通は土の中に埋もれたままで地上には出てこない。ドングリが土に埋まっていない場合には殻が壊れると緑になって、子葉らしくなる。子葉は夏には栄養分を出し尽くして枯れてしまう。




 ウバメガシには葉の裏に星状毛があり、この毛が若い時にのみ見られるものと、永年残るものがある。葉裏に星状毛が宿存するタイプのものをケウバメガシQuercus phillyraeoides A. Gray forma wrightii (Matsumura) Kitamura という。上の写真は右がウバメガシ、左がケウバメガシの葉の裏側であり、ケウバメガシのほうが色が白い。下はその拡大図であり、ケウバメガシには星状毛が残っているのがわかる。




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